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最終更新日 2022年3月3日
「だいとうのアーティスト特別展『小澄源太』展覧会」「なる感覚」展
開催期間:2022年2月5日〜2022年2月23日(展示期間終了)
会場:市民ギャラリー、サーティホール(大東市)
小澄源太展覧会「なる感覚」展の受付作業をするためにサーティホール(株式会社アステムの指定管理施設の1つ)に派遣されました。私はこれまで、小澄源太さんのことも彼の絵のことも知らなかったので、いい機会になると思いましたが、少し緊張していました。ウェブサイトのプロフィールには、Dir en GreyなどのCDジャケットアートを作って、Yohji Yamamotoなどのファッションデザイナーやブランドと一緒に働いていて、さらには彼自身がファッションブランドを持っていることがわかりました。「へええ、この人、本当に有名なアーティストなんだ!」と思ったのを覚えています。
私は子供の頃から、芸術にも舞台芸術にも、ずっと興味がありました。家族は音楽家が数人(父:ベーシスト、母:フレンチホルン)、父方の祖父は紙と版画を専門とする芸術家です。その芸術への愛情をさまざまな形で受け継いでいます。趣味として絵を描いたり、ファイバーアートを作ったり、ストーリーを書いたり、音楽を作ったりしています。ですので受付作業をしながらアートのふれあいができることを楽しみにしていました。
初めて展示会場に来た時、よく知っているサーティホールの展示スペースの雰囲気がガラッと変わっていてびっくりしました。鮮やかな形と活発的な筆致で描かれた巨大なキャンバスが壁一面に並んでいて、他の壁も大小さまざまな絵でほぼ埋め尽くされていました。パステルから濃い赤、青、黒まで、色の幅が広さが特徴であり、スタイルも様々でした。ペイントの飛沫で作られた絵とともに何百本の重ねあった細かいペン線で作られたものも展示されて、床に貼った制作中の作品もありました。絵を見ながら一人のアーティストがこれぐらいのバラエティに富んだ作品があるのはすごいと思いました。
しばらくするとギャラリーに入るためにお客様の電話番号・お名前の記入、体温を測り、手の消毒などをお願いする仕事が始まりました。
小澄源太さん本人もまもなくがやってきて、忙しそうに絵を調整したり並べたり、その床に貼ってある絵に描いたりして、自分自身の仕事もしました。
お客さんがいなかった時に、小澄さんがCDデッキの横で立ち止まって、フロントの横にあった椅子に座って、カジュアルに自己紹介をしました。彼は、受付作業について、なぜそこにいるのか、どこから来たのかなど、普通に質問してくれました。有名なアーティストでありながら、こんなにフレンドリーな方だったとはびっくりしました。私は話しかけられるのが嫌だったわけではなく、ほとんど無視されると思い込んでしまったので、ただの受付作業をしている私と話すよりもっと大事なことがあるだろうと思ったのです。
ギャラリーでの展示中、彼はいろいろな曲をCDで流していたので、会話の中で音楽の話題になりました。急に、私に「好きなアーティストは?」と聞きました。「若いころはハードコアやノイズ系が多かったけど、今はいろいろ聴いているよ。どんな音楽がいい?」小澄さんが言いました。
私は少し考えて、「平沢進 」と答えました。80年代から電子音楽を作っていたアーティストで、アニメ監督の今敏さんの作品のサウンドトラックを多く作った人です。(高校生の時に「パプリカ」や「妄想代理人」を見てから彼の音楽がとても好きになりました。)
その時、彼は「そうなんだ!」と言ってうなずいてくれました。実は以前ギャラリーに来た方に「平沢進はおすすめです」と言われたことがあったそうです。私は、それで会話の終わりになるのだろうと思って、小澄さんはまた絵を描くことに戻るのだろうと予想していました。
しかし、小澄さんは携帯電話をいじりながらCDデッキに接続すると、スピーカーから平沢進の最近の楽曲、最初の数音を流し始めました。本当にびっくりしました!
それから数時間、彼は平沢進の音楽を流しながら作品を作りました。小澄源太さんは、ギャラリーを見に来られた人たちと一人ひとり親しみやすく会話をされて、会った人が笑顔で帰っていきました。毎回シフトが終わって帰る時には、私も笑顔で帰っていきました。
↑平沢進の「TIMELINEの終わり 」
その後のシフトは、ほとんど同じような流れでした。毎回ギャラリーを見に来られた人にコロナ対策を守るようにお願いしました。小澄源太さんがギャラリーに来て、平沢進をスピーカーに流して、優しい笑顔と挨拶で私を振り返ってくれました。
↑ 2022/2/5~23「だいとうのアーティスト特別展『小澄源太』展覧会」「なる感覚」展 インタビュー
彼の作品についてインタビューできる機会があると分かって、本当に楽しみでした。彼が自分の作品をどのように見ているのか、どこからインスピレーションを得ているのか、もっと知りたいと思ったのです。彼の話を聞くことで、彼の作品作りのプロセスを知ることができ、もしかしたら私もアーティストとして成長できるかもしれないと思いました。
小澄源太さんとインタービューした時に言われたことがとても印象的で、ギャラリー内を歩きながら、たくさんのについての話を聞くことができたので、作品の見方が変わりました。
彼の作品の意味は、描いた後に作品とのやりとりの中で気づかされることが多いようでした。また色鮮やかでアブストラクトなもの、ありふれた日常生活なもの、人体のリアルな表現など、その多様性を深く感じました。また、多くの作品の中で、輝いている目が目立っていて、「イキイキさ」を感じます。男性や女性のセクシュアリティの面もあり、ところどころに血管や脳のシナプスをモチーフとしたものも見られました。
小澄さんは、ボールペン、アクリル絵の具、鉛筆などを使い、ひとつの画材にこだわらずに絵を描いています。1つのライブアートでは、観客のエネルギーに押されてキャンバスに穴をあけてしまったようです。もちろん自由と自己表現力が見られて、同時にクラシカルな絵でよく見る人体形の深い理解もはっきり見られました。その時、ピカソやバスキアの数作品と比較しましたが、「意図的に特徴を借りているわけではなく、自分の頭の中は他の芸術から影響を受けていて、無意識に自分の作品に取り込んでいる可能性がある」と答えてくれました。ほとんど無意識に描いているのに、こんな細かい表現ができるのは本当にすごいと思いました。
小澄源太さんは、辛い時や暗い時でアートに救われたことと、人生の中で人が自分を応援してくれていたことに気づいたときの気持ちについてよく話してくれました。親友や母親などでも、一人か二人の人からサポートがあっても、 活動を続ける力を与えられます。他者からの批判にさらされやすいSNS時代、アートは自己不信へのいい対策になるのではないかと思いました。
全体として、小澄源太さんと会うことができて、芸術について話すことができて本当にありがたいです。彼の作品作りのプロセスについての話を聞くことと、大東市にいる間に彼とこのようなラポールがあったことはとても光栄だ思っています。
小澄源太さんの詳しいプロフィールなどはこちらから → http://yesyeshihi.net/kosumigenta/