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最終更新日 2021年11月29日
大東市立歴史民俗資料館は、大阪府の東にある大東市の、さらに東側の飯盛山の麓にある、複合施設「大東市立歴史とスポーツふれあいセンター」(通称、「来ぶらり四条」)の2Fと3Fにあります。国指定史跡にもなった、かつて三好長慶が居城した飯盛城のファンや、だんじりが好きな方、市の歴史に興味のある方などが多く訪れます。また、同じ建物の大東市立東部図書館や、四条体育館、グラウンド、多目的室などを利用する方もいらっしゃいます。
ところで、なぜこのようなお話をするかというと、私は普段大阪府大東市の歴史民俗資料館で学芸員をしていて、染織について学んでいたご縁から、地域の歴史と関わりのある「木綿」や「染織」に関する取り組みを色々と担当させていただいているのです。
また、キャラクターや展示物を作ったり、冊子やチラシのデザインをさせていただいたりもしています。
今回は、歴民で私が担当している「木綿」や「染織」の取り組みについてご紹介したいと思います。
目次
私たちが生きている現代では、様々な美しい色や、模様の布を簡単に手に入れることが出来ます。合成染料を購入すれば、絵具で色を調合するような手軽さで、自分の欲しい色を染めることも可能です。
美術館や博物館では、まだ合成染料のなかった昔に作られた美しい染織品がたくさんあります。それらは、全て植物や鉱物などといった天然のものを用いて色や模様が染められていました。
天然の染色材料を使うためには、植物を育てたり、たくさん集めたりすることが必要ですし、集めた材料で染めるには、材料によって異なる様々な方法で時間をかけなければなりません。
さらに、布を手に入れるためには、動植物などの繊維を集めて糸を作り、機織り機を使って布を織らなければなりませんでした。
ここで少し、大東市と「木綿」の関係について紹介したいと思います。
大東市は、昔「河内」という地域に含まれていました。かつてこの河内では、地厚で丈夫な「河内木綿」と呼ばれる木綿布を多く産出していました。木綿布の材料となる繊維は、種子が繊維に覆われた状態で蒴果(さくか・実)から放出される「ワタ」という植物です。ワタは、その繊維で作られた布と同じく、一般的に「木綿」と呼ばれています。大東市内に伝わる江戸時代の古文書からは、ワタが盛んに栽培されていた当時の様子を読み取ることが出来ます。
また、大東市立歴史民俗資料館(通称「歴民」)には古文書の他に、綿繰り機や糸車などといった「木綿」に関係する民具資料も収蔵されています。
こうした史資料を紹介し、市の歴史に興味関心をもってもらうため、歴民は教育普及活動として様々な取り組みを行っています。取組みの詳細については、公式ホームページでPDF公開している大東市立歴史民俗資料館の館報も是非ご覧ください。
歴民は複合施設、通称「来ぶらり四条」の敷地内でワタの栽培に取り組んでいて、現在4年目となります。収穫したワタは、展示室のハンズオンコーナー(自由に触って体験してもらうコーナー)で、実を繊維と種に分けるための「綿繰り機(わたくりき)」という昔ながらの道具を体験するために使用したり、小学校の授業で使用したり、歴民の色々なイベントで使用しています。
ワタの栽培には、地元の企業である明星金属工業株式会社でもSDGsの取り組みの一環としてご協力いただき、令和元年度から毎年収穫したワタの実をご提供いただいています。
また、お預かりした実をこちらで先程登場した昔ながらの「綿繰り機」を使って種を取り出し、翌年その種を育てていただいています。
「市民学芸員活動」とは、市内外の一般の方に歴民の学芸員と調査や研究を行っていただく歴民の特色ある取組みです。参加の条件は、1年間を通して歴民の「学芸員体験講座」を一定数以上受講すること。この講座は大学の博物館過程のような内容になっていて、市の歴史や資料の取り扱い方について学んでいただきます。
この市民学芸員活動の中で、筆者が担当していて活動4年目となる「大東木綿隊」という活動では、ワタの栽培や収穫・記録、糸紡ぎや手織りの練習などに取組み、収穫したワタを使用したワークショップも行います。
令和2年度から現在は残念ながら新型コロナウイルス感染症対策として、屋外の畑仕事に限定して活動を行っています。
歴民では、木綿と市の関わりを紹介する展示も行っています。
平成31年度企画展「ちょっとむかしのくらし」では、「河内木綿」のコーナーを作り、今と昔の装いの違いや、古くなった衣服を作りかえて大切に使っていたことなどを伝えました。
令和元年度には、夏季企画展として「れきみん河内木綿栽培奮闘記~大東もめん語り~」を開催し、ワタの栽培や市と木綿の歴史、また資料を未来に伝えていくための資料保存などといった取組みを紹介しました。
「木綿布」にまつわる作業は、ワタの栽培から始まり、実を使用して糸を作り、布を織り、染めて反物を完成させ、縫製するまで、多岐にわたります。
歴民は、「織る」という工程について体験してもらうため、簡易な織り機を使用したワークショップを行っています。
令和元年度からは、大東商工会議所が主催する、子ども向けのモノ作り職業体験イベント「だいとうキッズファクトリー」でも「河内木綿のお仕事体験」として織りを体験するワークショップをさせていただいています。
また、「染める」という工程を体験してもらう藍染め体験のイベントも行っています。
紐でくくったり、木やクリップで挟んだりといった簡単な方法で自由に模様を考えていただき、アイという植物の天然の色素で染める体験です。
皆さん、自分の布がどのように染め上がるのか興味深々で、楽しんでいただいている人気のイベントです。
ここでは、いつでも自由にワタの実を繊維と種に分ける「綿繰り(わたくり)」作業を体験していただけます。
※なお、現在ハンズオンコーナーは新型コロナウイルス感染症対策のため撤去中です
歴民では、市の歴史に興味関心をもっていただくために様々な取り組みを行っています。
興味がある方は、是非大東市立歴史民俗資料館へお越しください。
歴民では、市の歴史に興味関心をもっていただくために様々な取り組みを行っています。
興味がある方は、是非大東市立歴史民俗資料館へお越しください。
大東市立歴史民俗資料館
〒574-0015大阪府大東市野崎3-6-1大東市立歴史とスポーツふれあいセンター2F・3F
TEL:072-876-7011
HP:https://rekisupo.com/
Facebook:https://www.facebook.com/rekisupo/